中央臨床工学部

手術室

手術室では、診療支援業務として人工心肺装置や補助循環装置の操作、自己血回収装置の操作、植込みディバイス患者の設定変更や、仙骨神経刺激療法（SNM）時における、刺激装置の操作等を行っています。
さらにMEセンター担当スタッフと連動して、始業前の機器、設備点検、医療機器関連トラブルへの対応や故障時修理などにも迅速に対応しております。

• ①人工心肺業務

  心臓の手術を行う場合一時的に心臓の動きを止める必要があります。
  その際、循環と呼吸を代行する必要があり、人工心肺装置という高度な医療機器を使用する必要があります。

  臨床工学部には、2名の体外循環技術認定士が在籍し、3000例以上の人工心肺操作経験を持つ技士を中心に、心臓血管外科医・麻酔医・看護師と連携を取りながら安全で高度な心臓手術をサポートしています。

  2020年10月島本心臓血管外科主任部長の赴任により、症例数が急増し、年間150例以上の開心術を実施しております。
  また患者さんの身体的負担を軽減することを目的とした低侵襲心臓手術（MICS）の導入や胸腹部大血管手術の実施など高度な体外循環が求められる術式が増え、日々研鑽に努めております。

  また、人工心肺中の管理は目標指向型循環管理（goal-Directid Pufusion）を適応し、酸素の使用量（VO2）や炭酸ガス（VCO2）排出量をもとに必要な循環血液量を維持するように管理し、乳酸値の上昇の抑制や術後腎不全（AKI）の予防に努めています。

  使用する人工心肺装置は、日本体外循環技術医学会、「人工心肺における安全装置設置基準（第6版）」に準拠した安全対策を行っています。
  また、使用するディバイスに不良があった場合にも速やかに対応できるべく、回路の工夫や、定期的にシュミレーショントレーニングを実施し万一の場合にも速やかに対応できるようにしています。（動画1）

  

  人工心肺装置

  

  小切開手術（第四助間開胸）

  緊急時に対応できるための人工肺交換シュミレーショントレーニングの実際

• ②術中自己血回収業務

  主に整形外科や心臓血管外科症例に対して、輸血量削減を目的とした、術中自己血回収業務を年間200例程実施しています。
  複数診療科に対応するため、2台体制とし緊急時にも対応できる体制を整えています。

  

• ③仙骨神経刺激療法（SNM）業務

  仙骨神経刺激療法（SNM）とは、活動膀胱の症状の改善に、仙骨神経に直接電気刺激を与え軽減を図る治療法です。
  お尻皮下に心臓ペースメーカのような装置を体内に植込みます。
  この際、泌尿器科医師と連携して刺激装置の操作を行っています。

  日本でも2017年9月から健康保険が適用され、西部地区は当院が唯一の植込み施設となっています。

  

血管撮影室

心臓血管造影検査（CAG）、経皮的冠動脈インターベーション（PCI）、経皮的末梢血管形成治療（EVT）、植込みディバイス操作（IPG）、カテーテル心筋焼却術（ABL）時の介助、操作等を行っています。

• ①心臓カテーテル検査（CAG）・心臓カテーテル治療（PCI）

  心臓カテーテル検査（CAG）・心臓カテーテル治療（PCI）時に、診療放射線技師や看護師ともにチーム医療の一員として、ポリグラフや、血管内超音波診断装置（IVUS）等の操作を行っています。
  また、急性心筋梗塞（AMI）などの循環が不安定な患者さまに用いる、大動脈バルーンパンピング（IABP）や補助循環装置（ECMO）などの操作も行います。

  

  

  IVUSの操作

• ②経皮的心筋焼灼術（カテーテルアブレーション）

  心房細動、発作性上室性頻拍、心室性期外収縮、心室頻拍などの異常な回路や異常な部分に対して、カテーテルを用いて焼灼または冷凍凝固を行い、不整脈を抑える治療も年々増加しており、この際の心内電位を導出するためのラボの操作や刺激装置（スティムレータ）や3Dマッピングの操作を行っています。

  

  

• ③植込みディバイス

  ペースメーカ植込み時や植込み型心臓モニタ（ICM）時のプログラマー操作を担当し心房・心室リードの閾値、感度、抵抗値の測定を行っています。
  術後の動作状況の確認や退院後の外来や遠隔モニタリングを実施し、定期的なフォローアップも行っています。

  

  プログラマー操作

集中治療室

医師、看護師、理学療法士、栄養士、薬剤師とともに、チーム医療の一員として、血液浄化療法機器、補助循環装置の操作・管理、人工呼吸器、非侵襲的陽圧換気法、HFNC等の補助を行っています。近年は、敗血症や急性膵炎などのnon-renal indicationにおける急性血液浄化療法にも対応しております。
また、毎朝のカンファレンスにも参加し、早期介入と情報取集に努めております。

血漿交換+持続的血液ろ過透析

補助循環（ECMO）の管理

透析室

透析室は7床で、入院患者を対象として血液透析（濾過）を実施しています。
それ以外にも、血漿交換療法、顆粒球除去（GCAP）、など実施しています。
透析では、1回に約150L もの量の透析液が使用されます。
この透析液の「清浄度」が安全で快適な透析を行うための要となります。
日本透析医会が定める水質管理基準に基づき毎月1回のエンドトキシン測定と生菌測定を行い透析液の管理を行っています。

その他

ペースメーカ外来、仙骨神経刺激療法（SNM）外来、RFA（経皮的ラジオ波焼灼療法）、在宅呼吸器入退院介助、腹水濾過等の業務も行っています。

ペースメーカ外来

腹水濾過濃縮

Web紙面掲載

• 永島汐莉、松本桃佳、興津英和、島本健：「臨床工学技士インタビュー」、forista Biz（https://forista.biz/?p=5254）Web掲載

演題発表

• 松本桃佳 他：「効果的なコミュニケーションをとるために」、静岡パーフュージョンセミナー、2023.12、静岡
• 興津英和 他：iNO吸入療法における評価指標の検討、第7回日本集中治療医学会東海北陸支部学術集会、2023.6、金沢
• 興津英和 他：低侵襲心臓手術（MICS）体外循環を安全に行うために、2023.8，院内学術集団会
• 細谷太一 他：レオカーナの使用経験、2024.1、院内学術集団会
• 興津英和：他：業務改善と工夫によるタスクシフト・シェアへのアプローチ、2024.1、院内学術集団会
• 興津英和 他：「MICS体外循環におけるピットホール」静岡パーフュージョンアカデミー、2024.3、静岡
• 松本桃佳 ：脳分離回路適正使用のための意見交換会、2023.07 Web
• 松本桃佳 ：心筋保護回路適正使用のための意見交換会、2023.08 Web

講師

• 興津英和：iNO当院における急性A型大動脈解離症例に対するアイノフロー®使用経験、Web seminer for clinical Experts、2023.8、東京

座長司会

• 興津英和：パネルディスカッション座長、「心筋保護」、第10回日本体外循環医学会東海地方会学術セミナー、2023.5、名古屋
• 興津英和：特別講演座長、「若手臨床工学技士への期待」。第18回静岡県臨床工学技会、2023.6，web
• 興津英和：特別講演座長「人に優しい急性血液浄化法「 サイレントCRRTの提案」、第16回東海CHDF研究会、2023.8，名古屋
• 興津英和：共催セミナー座長、「ECMO管理のコツ」、第46回日本体外循環技術医学会 東海地方会学術集会、2024.2
• 興津英和：パネスディスカション座長「集中治療のやりがい 〜忘れられない患者さん〜」第51回日本集中治療医学会学術集会、2024.3、札幌

主催セミナー

• 興津英和：日本集中治療医学会 東海北陸支部 第3回 「集中治療CEセミナー～医療機器を攻略しよう～」、2023．7、名古屋

演題発表

• 永島汐莉 和久田 辰哉 松本 桃佳 中川 太貴 大羽 孝 寺田 和生 荒井 美希 興津 英和、仙骨神経刺激療法を開始して、症状が改善された一例、第17回静岡県臨床工学技士会、2022.6,Web
• 松本 桃佳 和久田 辰哉 永島 汐莉 中川 太貴 大羽 孝 寺田 和生 荒井 美希 興津 英和 島本 健 当院の心臓血管外科におけるWEBツールを活用した取り組み「―人工心肺業務教育に着目して―」、第70回日本職業・災害医学会学術大、2022.11,Web
• 松本 桃佳 和久田 辰哉 永島 汐莉 中川 太貴 大羽 孝 寺田 和生 荒井 美希 興津 英和 島本 健、複数項目を評価することで早期に異常を発見し、安全に脳分離体外循環を施行できた2例、第45回日本体外循環技術医学会東海地方会学術大会、2023.1,岐阜
• 永島汐莉 和久田 辰哉 松本 桃佳 中川 太貴 大羽 孝 寺田 和生 荒井 美希 興津 英和、仙骨神経刺激療法を開始して「 ～症状が改善された一例～」、2022年学術集団会、2022,10

講師（講演会・研究会など）

• 興津英和：当院における低侵襲血行動態モニタの活用方法について、Nakanihon Hemodynamic seminar、2022.7,名古屋
• 興津英和：当院におけるiNOの使用経験「～モニタリング方法を模索する～」、iNOflo Web forum for Clinical Engineers、2022.11,名古屋

座長・司会

• 興津英和：教育講演座長「シリーズ レジェンドに学ぶ！！」、日本体外循環技術医学会東海地方会 第9回学術セミナー、2022.5,静岡
• 興津英和：シンポジウム座長「コロナ時代のコミュニケーション」、日本集中治療医学会 第6回東海北陸支部学術集会2022.6、名古屋

主催セミナー

• 興津英和：日本集中治療医学会 東海北陸支部 第2回 「集中治療CEセミナー～医療機器を攻略しよう～」、2022．7,名古屋

紙上発表

• 興津英和：施設紹介、Jpn J Extra-corporeal technology 49(2) : 130-133 2022

学会発表

• 松本桃佳 他、当院の心臓血管外科手術時間短縮のための取り組み、第68回関西胸部外科学会、2021,12、Web
• 松本桃佳 他、パネルディスカッション：心臓血管外科におけるWEBツールを活用した教育効果 -体外循環に携わり始めて1年を振り返って-、第44回日本体外循環技術医学会東海地方会、2022,2、Web
• 興津英和 他 MICS体外循環におけるピットホール、テルモセミナー、2021.11、web
• 興津英和 他 当院におけるMICS体外循環の経験と対応について、第44回日本体外循環技術医学会東海地方会、2022,2、Web

座長・司会

• 興津英和：シンポジウム座長「集中治療室における臨床工学技士の常駐・専従業務の推進について、日本集中治療医学会第5回東海北陸支部学術集会、2021.6、Web
• 興津英和：コメンテータ「ビデオシンポジウム石灰化病変」、第3回SINGLIVE研究会2021.9、Web