中央検査部

中央検査部

ご挨拶

中央検査部は病気の診断や治療のための支援として、各種検査を行っている中央診療部門です。

臨床検査は、検体検査・生理検査・病理検査部門で構成され、病気の診断・治療法選択・フォローアップに欠かせない重要な情報源です。

当院検査部の理念は「正確、迅速、研鑽」です。

中央検査部

24時間体制で、検査結果を正確かつ迅速に提供しています。
患者さんと接する生理検査部門はもとより、検体検査部門においても、常に患者さんを意識したアットホームでハイクラスな検査を提供できるよう努力しています。

人員構成は医師2名、臨床検査技師19名、助手2名で日進月歩の医療に対応するため最新の検査技術の習得を心がけ、診療科のカンファレンスや院内外の様々な勉強会に積極的に参加し、専門資格を持つ技師も多数在籍しています。

検体検査部門は最新の精度管理手法を用いて24時間変動することのない安定したデータを提供し、チーム医療としてのICT、NST、糖尿病栄養指導などにも積極的に参画しています。生理検査部門では、心電図検査、超音波検査、肺機能検査、脳波検査、聴力検査等、様々な検査を行っています。

超音波検査では、心臓、腹部、乳腺、体表、血管などの部位の検査をしています。
3Dエコーでの心臓弁膜症の評価、SWEでの肝臓の線維化評価、エラストグラフィーでの腫瘍組織の弾性評価など健康診断から精密検査まで幅広く実施しています。

心臓超音波検査では術前・術中経食道エコー検査、腹部超音波検査では肝臓の悪性腫瘍に対するRFA(経皮的ラジオ波焼灼療法)、胆のう内で停帯・貯留した胆汁を体外に排出させる為のPTGBD(経皮経肝胆のうドレナージ術)を医師と連携してチーム医療に貢献しています。
また、学会発表、超音波検査士の認定資格の取得にも力を入れています。
病理検査部門では浜松医大と連携し、的確な診断結果を報告しています。

業務内容

生理検査部門

超音波検査

耳で聞こえている音より高い周波数の音、これを超音波と呼びます。
この超音波が体の中で、反射・屈折・散乱 する現象を画像にするのが超音波検査です。
血液の流れる速度、心臓や腸など動いている臓器などリアルタイムで観察することができます。
レントゲンやCTなどと違い、放射線被曝の心配がなく、体にとって侵襲が少ない検査です。

超音波検査

心臓超音波検査

心臓超音波検査

心臓超音波で心臓を検査する最大のメリットは、動いている心臓を見ることができる点です。
心臓の筋肉が収縮し、血液を送り出す様子、血液の逆流を抑える弁の動き、血液の流れる速度など、詳しく検査を行うことができます。

当院では最新のエコー装置Philips EPIQ 7Gを2台導入しており精度の高い心血管エコーを行っています。

当検査室の心臓超音波検査の特色

術前、術中の経食道心エコーを行う際、医師に立ち会い画像診断の補助を行っています。

  • 術前検査
    血栓詮索、感染性心内膜炎の評価、弁の評価などを精査します。
    その後、解析ソフトにて弁の長さや面積などを調べ、術前検査として医師に提供しています。
  • 術中検査
    人工心肺を開始する前、人工心肺を止め動脈の血流を再開した後に検査を実施しています。
    人工心肺を開始する前は術前エコーと変化が無いかを確認します。
    人工心肺を止め動脈の血流を再開した後は、弁より血液が逆流していないかを評価します。

当検査室の心臓超音波検査では、検査から治療そして治療後のまで大きく関わっています。

腹部超音波検査

腹部超音波検査では肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、脾臓、腹部大動脈、消化管骨盤内臓器を観察していきます。

当院では最新のエコー装置Canon TUS-AI800を導入しており、SWE、ATIを使用し肝臓の状態を数値化するなど、精度の高い腹部エコーを行っています。

SWE・ATIとは組織の硬さや超音波の減衰の程度を数値化することで客観的に診断を行うことができる検査であり、より精度の高い診断の補助となります。

穿刺時のエコー補助

穿刺前検査にて穿刺ルートの確認を行い、消化器内科、PTGDBなど穿刺を行う際に医師に立ち会い画像診断の補助を行っています。

心電図検査

心電図は心臓が血液を送り出す時に発生する電流を、体に付けた電極から検出し、機械で拡大して記録する検査です。
検査は5分程度で終了します。
記録した心電図は電子データとして電子カルテに送信され診察時に提供されます。

正常な心電図

不整脈

ホルター心電図

ホルター心電図は、小型の心電図を記録する装置を24時間身につけ、日常生活中での長時間心電図を記録し解析する検査です。
長時間心電図を記録することにより、一過性の異常や、日常生活で行う動作中に起きる心拍の異常を検出することができます。

よくある質問
  • お風呂は入れますか?
    入浴・シャワーは機器が故障してしまう為、控えてください。
  • 運動や仕事は可能でしょうか?
    散歩等の軽い運動はしていただいて構いません。
    ただし激しい運動などで汗をかくと電極が外れる可能性があるためお控えください。
ホルター心電図圧縮波形

負荷心電図検査(トレッドミル検査)

運動を行いながら行う心電図検査です。
安静時では分からない心電図の変化や不整脈・血圧の変化を見て、運動中の心臓の状態を検査します。
胸に心電図を、腕に血圧計を取り付けた状態で、回転するベルトの上を歩き続けて測定します。
一定時間ごとにベルトの速度と傾斜を上げて運動量を増やしていき、患者さんがこれ以上できないというところまで続けます。
患者さんの体力・状態にもよりますが、実際に運動する時間は10分前後です。

お願い

当日は検査着に着替えていただき運動をしていただきます。
着替えやすい服装でお越しください。

検査時の極端な空腹は避け、1時間前までにお召し上がりください。
アルコール・タバコはお控えください。

血圧脈波(ABI)

手と足の血圧を比較(ABI)や脈波の伝わり方(PWV)を調べることで、動脈硬化の程度を数値で表したものです。
上腕と足首の血圧の比を測定することで血管の狭窄がわかります。
また心臓から押し出された血液により生じた脈波が、動脈を通じて手や足に届くまでの速度を測ります。
速度が速いほど動脈は硬くなっています。

呼吸・肺機能検査

喘息・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・間質性肺疾患をはじめとする呼吸器の病気が疑われた時、またその状態を調べる際に行う検査です。
息を吸ったり吐いたりして息を吸う力、吐く力、酸素を取り込む能力などを調べます。
当院では、呼吸器内科と連携し、検査前に必ず身長、体重を測定し測定値に反映しています。
現在の呼吸状態をリアルタイムで臨床に報告しています。

脳波検査

脳の活動により、脳の中には小さな電気が流れています。
その電気的な変動を頭部につけた電極でとらえ、波形として記録し脳の動きを調べるのが脳波検査です。
主にてんかんの診断・病型判定、痙攣や意識障害の評価、器質性脳障害や睡眠異常の診断に用いられています。

皿状の電極を20~25本程度頭に付けてから記録を行います、痛みやしびれなどはありませんので安心してください。 電極装着に30分程度、記録時間20~30分程度で合わせて1時間程度の時間がかかります。

当検査室では、日本光電・脳波計ニューロファックスEEG-1260を導入しています。
オンラインで検査結果を送信でき、データを電子カルテにて結果参照することができます。

誘発筋電図検査

手足の神経の上から電気刺激を行って、末梢神経炎、糖尿病性神経障害、手根管症候群などの神経障害の診断や評価を行います。
運動神経伝導検査(MCV)感覚神経伝導検査(SCV)2つの検査を行います。

  • 電気刺激は痛いのですか?
    神経を刺激する必要があるため、多少の痛みが伴います。
    与える刺激の強さや時間は患者さんによって異なるため、痛みの程度も異なります。
    身体に影響はありませんのでご安心ください。
  • 検査にどれくらい時間がかかりますか?
    調べる神経の場所(手・足)や神経の本数・神経の状態などによって異なりますが、1時間~2時間程度かかる場合があります。
  • 検査してもらいたい場所と違う場所を刺激するのはなぜですか?
    神経は、脳や脊髄から指先まで伸びています。
    症状のある部位に関係している神経のどの場所に障害があるか見ているため、症状のある神経に沿って末梢側から上腕側まで刺激していきます。

睡眠時無呼吸検査 PSG

PSG(ポリソノグラフィ)検査は、呼吸状態、動脈酸素飽和度、いびき体位、体動、脳波、心電図、眼球運動および筋電図等も測定し総合的な睡眠時無呼吸障害を診断するための検査です。
睡眠時無呼吸症候群、(閉塞性・中枢性・混合性)周期性四肢運動障害睡眠時随伴症など、睡眠障害の詳細な診断が可能となります。

血液検体検査部門

超音波検査

血液算定・血液像検査

血液算定測定器により、採血をした血液の血球成分(赤血球、白血球血小板、ヘモグロビン、ヘマトクリットなど)の測定(血球算定)や、白血球の種類を分類することで種々な血液疾患など病気の状態を調べます。
また必要に応じて血液を顕微鏡用いて見ることにより細胞に異常がないか観察したりします。

血液凝固・線溶系検査

PT、APTT、フィブリノーゲン、D-ダイマーなど血液の止まり具合や血栓性の疾患などの病気に関係した検査です。
抗血栓治療のモニタリング、手術時の凝固能の確認にも関連した検査を行っています。

生化学検査・免疫血清検査

当院検査部では、アボット社Alinty生化学・免疫連結分析装置2台を用いて血清中の肝機能酵素、腎機能酵素、糖、蛋白質、脂質等、また血清中の肝炎ウイルスや梅毒等の感染症検査や消化器癌、肝癌、前立腺癌等で上昇する腫瘍マーカー、心機能を評価するマーカーを同時に測定してます。

一般検査

尿蛋白、尿糖、尿潜血など数種類の項目を専用測定テープを使い調べています。
加えて尿中の赤血球、白血球などの細胞を検査する尿沈査検査も行います。
その他、妊娠診断、ミオグロビン検査なども行っています。

輸血検査

輸血検査の業務は、輸血を行うため輸血製剤が患者さんにとって安全かどうかを確認する検査です。
輸血検査では血液型検査、不規則抗体検査、交差適合試験などの検査を行っています。

当院ではORTHO VISIONを使用し、検査手技を自動化する事でより安全な輸血検査を目指しています。

また、輸血を使用する際に電子カルテにて認証業務を行うことで血液型違い有効期限、使用製予定剤などを確認し、安全な輸血療法に取り組んでいます。

病理検査部門

病理検査では、組織検査と細胞診検査の2つの検査を行っています。
組織検査とは、患者様から採取したポリープや出来物、手術で切り取られた胃や大腸などの臓器の組織病変部を標本にします。

細胞診検査とは、婦人科検診などにより早期癌や前癌病変を検出する目的で行われています。
また尿や喀痰などに含まれている細胞成分も標本にします。

どちらもその標本から病気の分類などの診断を行っています。

組織検体はホルマリンに漬け、できるだけ生体内に近い状態で固定します。
ホルマリンは人体に有害なものなので、検体を取り扱う際は感染予防や換気等の環境の整った作業室で行います。
ここでは、肉眼的な観察をし、標本を作製するために組織を細かく切っています。

小さく切った組織をさらに薄く切って顕微鏡で観察するために、パラフィンで固め、ブロックにします。
標本を2μm(2/1000㎜)に薄く切り、スライドガラスに乗せて染色をします。
細胞診の場合は、直接、スライドガラスに塗って染色をします。

染色後、顕微鏡で見て診断をしています。

  • 組織検査:乳腺のHE染色像
  • 細胞診検査:乳腺パパニコロウ染色像

当院で導入している遠隔診断装置Nano Zoomerです。
染色したスライドガラスをデータ化し、他院の先生方にも診断していただき、セカンドオピニオンにも役立っています。

資格取得者

  • 超音波検査士(消化器)2名
  • JHRS認定心電図専門士 1名
  • 心電図検定 1級 1名
  • 細胞検査士 2名
  • 国際細胞検査士 1名
  • 二級甲類臨床検査士(病理学)1名
  • 有機溶剤作業主任者 2名
  • 特定化学物質四アルキル鉛等作業主任者 2名
  • 毒物劇物取扱責任者 2名
  • 第一種衛生管理者 3名

スタッフ紹介

  • 部長代理 大石 法子(臨床検査技師)
    資格等
    • 第一種衛生管理者
    • 有機溶剤作業主任者
    • 特定化学物質四アルキル鉛等作業主任者
  • 主任検査技師 細見 哲夫
  • 主任検査技師 高田 麻里
  • 主任検査技師 渡辺 計希
  • 他スタッフ
    臨床検査委技師 19名(内嘱託2名)

臨床検査技師とは?

みなさんは臨床検査技師という言葉をご存知ですか?
採血された血液や尿、便などの検体を用いて検体検査をしたり、またインフルエンザ等の細菌検査や、心電図、脳波、心エコー、腹部エコー、睡眠時無呼吸症候群検査などの生理検査をしたりしている厚生労働大臣管轄の国家資格になります。
検査技師も進歩する医療技術に合わせて経験と知識を身に付けるよう日々勉強し頑張っています。

部門紹介

心電図検査

超音波検査

脳波検査

筋電図・神経伝動検査

血液脈波(ABI)検査

呼吸機能検査

睡眠時無呼吸症検査

一般検査

生化学検査

血液検査

輸血検査

病理検査

採血から診察まで(採血室編)