学会・講演活動
- ●はじめに
- ●当科で扱う(主として手術)ことの多い疾病
- ●手術件数及び内容について
- ●学会・講演活動
- ●整形外科よもやま話
足関節果部骨折手術の受傷からの待機日数が創治癒に及ぼす影響について
小島昭司 H30.7.28 浜松 第65回静岡手外科マイクロサージャリー研究会
- ・あまねく外傷は受傷から時間が経過するにつれ腫脹する。やがて腫脹は消退してくるのであるが手術のタイミングによっては創治癒に悪い影響を与えることがある。
- ・残念なことにどの時期が危険なのか定説はない。
- ・過去の報告では早く手術(受傷24時間)すればよい、という結論であるが、 現在の医療体制(スタッフや手術室が24時間体制で維持できているとは限らない)においては24時間以内の手術を常時おこなうことは不可能といってよい。 (おそらく日本中探して何件見つかることか)。
- ・24時間を過ぎて手術をおこなう場合の適切な時期について検討した論文は実はないといってもよい。
- ・今回、小島はリスクがピークとなる日を検討し、術後4-5日目がもっともリスクの高い時期であると結論づけた。
- ・症例数が少ないが、今後症例数を重ねることでより精度の高い結論が出せるものと期待される。
ワンポイントレクチャー
河本正昭 H30.7.28 浜松 第65回静岡手外科マイクロサージャリー研究会
- ・画像と成績は必ずしも一致しないが、骨脆弱性を有する症例に手術するのであれば掌側ロッキングプレートであることにはコンセンサスが得られている。
- ・当科の平均80歳の症例に実施した経験からも手術は有用である。
- ・掌側転位型の症例からいくつかの疑問が生じた。軟部組織状態に関する考察を展開した。
- ・手技の基本といわれる尺側設置をより精度を高めるための特殊鈎を開発した。試行的段階であるが、従来の鈎を使用するのに比べて有用性は高い。
ばね指に対してトリアムシノロンの注入後屈筋腱のbowstring生じた1例
河本正昭 H30.7.21 浜松 第189回静岡整形外科医会集談会
ばね指にステロイド注入は広く受け入れられている治療でその有効率も7割以上と期待される。
ステロイド注入後に腱鞘が皮下断裂を生じbowstringを呈した症例を経験したので報告した。
文獻を紐解くとトリアムシノロン注入後の報告が多い。
力価はベタメサゾンやデキサメタゾンと変わらないかむしろ低いくらいなのでステロイド自体の作用とは違う機序で生じる合併症と思われる。
腱断裂を防ぐ手技については多く報告はあるが腱鞘断裂自体はその機序も不明でありこれを防ぐための有用な手技については確立されていない。
できればトリアムシノロンの使用を控えるか、用量、回数には制限を設けたほうがよいことを述べた。
膝関節脱臼に対して拘束型人工膝関節手術を施行した1例
請田雄大 H30.06.02 第16回静岡外傷・スポーツ障害研究会 静岡
掌側転位型橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレートを伸延して使用した症例の整復位の評価
河本正昭 H30.04.20 第130回中部日本整形外科災害外科学会学術集会 松山
高齢者の強直性脊椎骨増殖症に合併した椎体骨折の治療経験
田場健 H30.04.20 第130回中部日本整形外科災害外科学会学術集会 松山
大腿骨頸部骨折に対するセメントステム使用の人工骨頭手術おける術中の血圧変動について
小島昭司 H30.02.28 院内学術集談会 浜松
手術にて加療した慢性手指屈筋腱滑膜炎の4症例
田場健 H29.10.07 第129回中部整災学術集会 富山
手術にて加療した慢性手指屈筋腱滑膜炎の4症例
河本正昭 H29.10.06 第129回中部整災学術集会 富山
膝関節のBone marrow edema syndromeに対しビスフォスフォネート製剤を使用し症状が早期に改善した1例
濱本洋輔 H29.10.06 第129回中部整災学術集会 富山
腸腰筋膿瘍に仮性腸骨動脈瘤を合併した一例
濱本洋輔 H29.07.08 静岡整形外科医会集談会 浜松
基節骨骨折に伴う浅指屈筋腱皮下断裂の1例
河本正昭 H29.06.03 静岡手外科・マイクロサージャリー研究会 静岡
足関節脱臼骨折での脛腓間screw併用に対するX線学的検討
田場健 H29.05.27 静岡外傷・スポーツ研究会 浜松
静脈穿刺による神経損傷例の検討
河本正昭 H29.04.08 第128回中部整災学術集会 神戸
同一症例に実施した片側navigationガイド下TKAと対側従来法下TKAの短期成績の比較
岡江優 H28.11.20 第133回遠江医学会 松本
頸椎から胸椎に及ぶ硬膜外膿瘍の1例
田場健 H28.11.19 第184回静岡整形外科医会 静岡
高齢者の不安定型大腿骨頚部骨折に対するUnipolar hemiarthroplastyの有用性について
河本正昭 H28.09.30 第127回中部整災学術集会 松本
mangled handに対する当科の対処法
河本正昭 H28.05.28 第14回静岡外傷・スポーツ研究会 三島
橈骨遠位端骨折に対する骨折型と術後整復不良との関連性の検討
岡江優 H28.04.09 第126回中部日本整形外科災害外科学会 浜松
大腿骨骨折手術における術後死亡リスク
富澤琢也 H28.04.09 第126回中部日本整形外科災害外科学会 浜松
骨片の縫着を要したPIP関節背側脱臼骨折例の検討
河本正昭 H28.04.09 第126回中部日本整形外科災害外科学会 浜松
両側膝蓋腱断裂の治療経験
田場健 H28.04.08 第126回中部日本整形外科災害外科学会 浜松
尺骨彎曲変形に対する操作を行うことなく徒手整復された橈骨頭前方脱臼の1例
河本正昭 H28.02.20 第61回静岡手外科・マイクロサージャリー研究会 浜松
腋窩前方に生じ上肢しびれ感を呈したガングリオンの1例
河本正昭 H24.2.25 浜松 第49回静岡手の外科・マイクロサージャリー研究会
ガングリオンは体のどこにでも生じ、通常は痛くもなんともない嚢腫性の疾患です。
何か症状を生じない限りは放置してかまわないので疾患と呼んでいいのかどうかも疑問です。
中にはなんらかの症状が生じる場合があります。
困ったことに関節から生じていることが多いので表面から取りに行くと神経や血管、 腱との関係が複雑で意外と苦労します。
肩関節も上半身の中では最も深い部位にある関節なので ここから出てきたガングリオンを取りに行くのはけっこう大変です。
この発表では関節鏡を使って関節から嚢腫へ続く通路を破壊することで
ガングリオンを縮ませることができたことを報告しました。
手根管症候群に対する小皮切手根管開放術後の創および周辺の疼痛
河本正昭 H24.4.20 第55回日本手外科学会学術集会 横浜
手根管症候群は夜間痛や指先のしびれがつらい疾患です。
症状が軽ければ安静や痛みどめなどで様子を観ていれば治りますが、手術が必要な場合もあります。
手のひらに切開を加え、横手根靭帯という皮下のバンド状に張った組織を切開してやれば かなりの効果を期待できます。
術後に創とは異なる部位の違和感を感じるケースが少なからずあることに気付かされていましたので
これらの時間的経過について発表しました。結論としてはほとんどは自然回復しますが、数か月を要するケースが半分くらいありました。
手関節尺側痛に対する関節鏡治療の小経験
河本正昭 H24.6.17 第124回遠江医学会 浜松
手関節痛は上肢(肩から手)の中でもっともよくみられる症状だといわれています。 単なる使い痛み、打撲で一時的なものから、激しい怪我によるものや、
無理な動作を長期間続けたことから生じてくるものもあります。 手首の小指側の痛みの中で三角線維軟骨の断裂は慢性化するとなかなか治らない場合があります。
この疾患に対して関節鏡を用いた治療した8例について発表しました。 リウマチやリウマチ類似の疾患によるものは他の部位も傷んでいるので出来はぱっとしませんが、
痛みの原因が特定できる場合は大変よい結果が得られることを述べました。
大腿骨転子部骨折にたいし行った小皮切手術と通常皮切手術との比較検討
中山威知郎 H24.6.30 第38回日本骨折学会 東京
高齢者の股関節に近いところでの骨折は命さえ脅かす大変なけがです。
介護にあたる家人にも大変な労力を要します。
ろうさい病院の中山医師が独自に開発したプレート・スクリューを用いて3㎝の皮膚切開で治療したものをまとめて発表しました。
小児特発性腸腰筋膿瘍の1例
松村拓郎 H24.7.21 第168回静岡整形外科医会学術集談会
勤労者における腰痛-主として認定業務の立場から
河本正昭 H24.10.5 産業衛生教育研修講演
主として上肢疾患における非侵害受容性疼痛に対する取り組み
河本正昭 H24.11.6 浜松痛みのセミナー 講演
軸椎歯突起後方偽腫瘍の1例
松村拓郎 H24.11.17 第169回静岡整形外科医会集談会
高齢者大腿骨頸部骨折に対する低侵襲手術
中山威知郎 H24.11.17 第169回静岡整形外科集談会 ワンポイントレッスン
論文
静脈穿刺による神経損傷例についての検討
河本正昭 中部整災誌 2017;60(6):1005-1006
転位型大腿骨頚部骨折に対するunipolar hemiarthroplastyの有用性について
河本正昭 中部整災誌 2017;60(1):111-112
橈骨遠位端ロッキングプレート抜釘リスクの検討
富澤琢也 中部整災誌 2016;59(1):49-50
大腿骨頚部骨折に対する骨接合術後の合併症および追加手術の検討
岡江優 中部整災誌 2016;59(2):371-372
掌側板縫着を加えたPIP関節背側脱臼骨折の治療成績
河本正昭 中部整災誌 2016;59(5):1067-1068
外傷性両側性肩関節脱臼の2例
田場健 中部整災誌 2016;59(3):605-606
人工膝関節置換術後感染の治療に難渋し大腿切断術を施行した関節リウマチ患者の治療経験
濱本洋輔(共同著者)
中部整災誌 2016:59(4):833-834
掌側ロッキングプレートによる掌側転位型橈骨遠位端骨折の治療成績
河本正昭 日本手外科学会雑誌 Vol.28, No.5, Page445-448 (2012.02.27)
手首の骨折は大変よくある骨折ですが、けっこうややこしいものもあります。
ややこしいケースにはそれなりのパターンがあるのですが、
労災の河本医師はこれらに対する従来の治療法とは異なる工夫について発表しました。
講演
骨髄浮腫という疾患概念の紹介 浜整会ワンポイントレッスン
濱本洋輔 H30.3.16
PIP関節にかかわる外傷・変形について 浜整会ワンポイントレッスン
河本正昭 H29.3.11
静脈穿刺における表面解剖
河本正昭 H24.6.12 院内 医療安全講習
ヒポクラテスがまず害をなすべからず、と言ってますが、
まさに医療は危険と複雑さに対して鎬を削っているようなものです。
たかが注射、採血と思われるかもしれませんが、ヒポクラテスの教えに従い、
どんな小さな行為でも基本的な知識はしっかり身に着けてもらわなければなりません。