独立行政法人 労働者健康安全機構 浜松労災病院

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心臓病の話『狭心症・心筋梗塞について』

(5)予防対策
 火事が起こったとき消火が大切ですが、「火の用心」できればそれに越したことはありません。 生活習慣を改善することで狭心症、心筋梗塞の予防がある程度可能です。動脈硬化の危険因子は沢山あります。 高脂血症、高血圧症、タバコ、糖尿病、肥満、精神的ストレス、性格、男であること、遺伝、高尿酸血症があげられます。 このうち、高脂血症、高血圧症、タバコは動脈硬化の3大危険因子として、重視されています。 すこしでも危険因子を減らすことが心臓病の予防につながるわけです。
 動脈硬化の危険因子を考えるとき食生活の影響が大きいように思います。食生活について大きく3つの注意が必要です。

 ・コレステロール、動物性脂肪をさけること。
 ・カロリーを抑え、肥満をなくすこと。
 ・塩分を控え、高血圧を予防すること。

 日本人の食事が欧米化し、脂肪の多い食事を取るようになって、コレステロールの摂取が増えてきました。 血清総コレステロールが220mgを超えると高脂血症といい、虚血性心疾患の発症が増加することが証明されています。 コレステロールは卵の黄身、肉の脂身、バター、クリームなどの乳製品に多く含まれています。 これに対して野菜、果物、などの植物繊維の多いものは、コレステロールを吸着して腸からの吸収を抑える働きがあります。 魚類にはエイコサペンタエン酸が多く含まれていて。コレステロールや中性脂肪を下げるさようがあります。 高脂血症の人は食物の中のコレステロールを1日300mg以下にすることが必要です。
 肥満は虚血性心疾患のリスクファクターとなり、また高血圧の原因となります。 自分の肥満度を計算してみて下さい。 標準体重は次の式で簡単に計算できます。

  標準体重=(身長-100)×0.9

 自分の体重が標準体重より20%以上の時、肥満といいます。 10%以上は太り気味ですので同様に注意が必要です。また最近はBMI(ボディマス指数)もよく使われます。BMIも簡単に計算できます。

  BMI=体重(Kg)/(身長(m))2

 運動でカロリーを消費することは難しいことです。要するに腹八分目を守ること。ジュース類や果物、菓子を控えることです。
 高血圧で問題となるのは塩分です。減塩の考えがひろまり、日本人の塩分摂取量は減ってきており現在12g程度です。 高血圧の人は勿論、血圧が正常の人も1日10g以下にすることが望ましいと思います。 薄味になれること、減塩醤油、味噌で調理したり、香辛料や酢などを材料にするなどの工夫が必要です。
 タバコは虚血性心疾患の大きなリスクファクターです。 日本人の喫煙率は欧米人と比べるとまだまだ高いといわれます。 タバコを吸う人には、吸わない人と比べて、狭心症や心筋梗塞、突然死、がんなどが多くいことが証明されています。 特に狭心症、心筋梗塞になっている人はただちに禁煙して下さい。
 ストレスは虚血性心疾患の危険因子となります。 仕事のトラブルや、家庭内の問題、上司、部下、同僚との関係などの職場の問題、 深夜残業、不眠などのストレスが続くと、狭心症発作や心筋梗塞の引き金になります。 タイプA行動パターンの人は虚血性心疾患になりやすいといわれています。 Aタイプとは責任感強く、精力的である反面せっかちです。 自分の性格を知った上で、行動パターンをコントロールし、 職場や家庭内でのストレスをできるだけ上手に回避することが大切です。 またストレスがあった時には運動や散歩などをするなどして、環境を変え、ストレスをためない工夫が必要です。