心臓病の話『狭心症・心筋梗塞について』
- ●はじめに
- ●急性心筋梗塞・狭心症について
- ●急性心筋梗塞・狭心症の症状
- ●急性心筋梗塞・狭心症の診断・治療
- ●予防対策
(3)狭心症、急性心筋梗塞の症状
狭心症には労作性狭心症と安静時狭心症があります。労作性狭心症とは走ったり、階段を登ったりしている途中、
出勤中などに前胸部の圧迫感を感じることが多いようです。症状が強い場合には胸痛として感じますが、
時として息切れ、胸のもやもやした感じ、歯や顎の痛み、左腕のだるさ、胃部の不快感、
胸やけのような症状として感じることもあります(図3)。これらの症状は運動を中止して休んだり、
即効的なニトログリセリンを舌の下に含んだりすることで、数分で軽快します。
一方、安静時狭心症とは静かにしていたり、寝ているときに胸痛などの発作がおこります。特に夜間、明け方が多いようです。
いづれの狭心症発作も狭心症発作の特効薬であるニトログリセリンを舌下することにより軽快します。
初めて狭心症発作を経験したり、狭心症発作の回数や強さ、持続時間が増加し、
発作が起こりやすかったりした状態を不安定狭心症といいます。不安定狭心症は急性心筋梗塞に移行しやすい狭心症と考えられています。
すぐに専門医を受診することが必要です。
急性心筋梗塞は冠動脈が血栓などで詰まってしまった状態ですので、
発作の症状はいままで感じたことがないような激烈な場合が多いようです。症状は突然起こります。
「胸をかきむしられるような痛み」、「胸骨の焼けるような熱い痛み」、
「胸の上に重い物を乗せられているような感じ」等多彩な症状とともに冷汗を伴い、死の恐怖を感じることもあります。
発作は労作とは無関係なことが多く、過労が誘因となることもあります。
また発作は安静、ニトログリセリンでもよくならず、長く続きます(図3)。
しかし時として糖尿病や高齢者の患者さんではあまり症状を感じないこともあります。
また心不全、ショックを合併した重症の患者さんは呼吸困難や意識がなくなることもあります。
このような症状を感じたときはただちに医師の診察を受けるべきです。
急性心筋梗塞は早期の診断、治療が大変大切です。
急性心筋梗塞の死亡の半数以上は発症2時間以内に起こると言われております。
ことに急性心筋梗塞発症早期に起こる致命的な不整脈には的確な治療が必要です。
早い治療が救命率を高めることを忘れないようにして下さい。